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小さな愛【R18】

第6章 三人目 無頼漢リンク※


男はジルの首の下に手を差し入れ、床から抱き上げると俺に向き直り一瞥した。

「でも、僕はちっともそう思わない。 あんたのしてる事はただのガキの癇癪か八つ当たりだ」

「ま、……待て。連れていかないでくれ。ジルは……ジルは」

たった一人生き残っていた俺の妹。
妹の、大きくなったジルの笑顔をもう一度見たかった。
汚れてみっともない顔にも構わず、俺はジルにすがろうとした。

無理な事だと分かってはいた。
だが無かった事にしたかった。

それに構わず忌まわしいものの様に俺を振り払った男は、ジルを抱いたまま戸口に向かい立ち止まった。

「お前は実の妹の彼女を傷付けて犯した。 例え妹でなくとも、いや……俺は生まれてからこれまで、こんなに腹が立ったのは始めてだ。 次に顔を見たら、どんな手を使っても必ずお前を地獄に叩き落とす」

滅法腕っぷしが強いと言われてた俺の全身の毛が逆立った。
強さとは単に力では無い。
こいつは刺し違えてでも俺を引き裂くだろう。
本気の殺気とはそんなものだ。
そしてこの男の目も、ジルと同じに死んだ者のようなそれではない。


男が出て行き、俺は頭を落としがっくりとその場にうなだれた。


「……う、うぅ、うあぁぁぁぁ!!!!!」


自らの吐瀉物にまみれながら、生まれて始めて大声を上げて泣いた。



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