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小さな愛【R18】

第6章 三人目 無頼漢リンク※


それは断片的な記憶だった。
目を開けるも周りの景色は用を成さず、映画の巻き戻しのように画と音が次々と脳へと流れ込んでくる。



そこには今しがたやった女がいた。

豪奢な建物の中で美しく着飾って最初にいた青い目の男とソファで話をしていた。

屋敷の中でどこかの小僧と楽しげに歌っている。照れたような表情の小僧。

暗い岩場で老婆と話している。
……お前は、死ぬね。
……気をつけろ。

頭上から荷が振りかかろうとする若い男の前に白い猫が立ちはだかって消えた。
……リラ!?

緑の髪の子供が言う。
……ごめんね。

病院にいる医者らしき男。
……残念ですが…

うなだれる白い猫。
……私が守らないと。

緑の髪の子供が猫をあの女の姿に変える。
……幸運を。

先程の男に頬擦りしている猫。
……リラ。飯は帰ってきてからな。

窓の外からその男を見詰めている。
……成弥。

その男が出した飯を美味そうに食べている。
……それはとても健康に良いんだって。

刺身を目の前にして困惑している。
……俺の仕事が決まったからお祝いなんだけどなあ。

もっと子供の姿のその男にじゃれている。
……こら、爪は止めろって。

人相の悪い大人の男に殴られそうになっている猫。
……汚らしい、外へ出て行け!

もっと子供の頃らしい男とちっぽけな飯を分け合っている。
……何も無いけど僕の所においで。

痩せた子猫が道路をフラフラと歩いている。
……人のいる所へ。

母猫と子猫。
……貴女は体が弱いけど賢い子だと思う。
……ここは危険。行って。少しでも生きる道を。


待てよ。
これは…………
暗闇の中で目を凝らすように俺の意識をそこに集中させる。


母猫が弱々しげに横たわっている。
……お母さん、お母さん。

母猫と子猫達が戯れている。
……危ないぞ、ジル。
……お兄ちゃん。


白い子猫がそう言った視線の先は子供の頃の俺だった。


「!!??」


お前は、ジル ──────────



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