第6章 三人目 無頼漢リンク※
俺はいつも苛々している。
昔はこうでもなかったが、一人になりこちらの世界に来て余計それが酷くなったようだ。
女を抱いても酒を浴びる程飲んでも一向に治まらない。
職も転々としていた。
大概喧嘩や暴力沙汰でクビになる。
ここの世界はどうも性に合わない。
「あの、何かなさったらどうですか?」
女がおずおずと話しかけて来た。
「こちらの人は何かを作って生活をする人が多いみたいです。 リンクさんは体も大きいので、色んなことが出来そうです……あ、こないだ市場で出会った猫族の方が器やグラスを作ってました。 とても優しそうな方で、お弟子さんが欲しいって言ってましたよ」
俺はここへ来てそれ程は長くなく、この世界の仕組みをまだよく知らなかった。
女はそんな俺にここの事を教えてくれた。
今のところ、俺は魚を捕って暮らしている。金が無くなればまた暫くの間漁に出る生活だった。
それ自体は悪くない。
だが、確かにな。
俺は自分のあばら家を見渡した。
屋根や壁の隙間から漏れる雨風のせいで朝晩は寒いし毛布も薄い。
もう少し生活を見直すのは良いことかも知れない。
「お前には関係ない」
俺は気の無い返事をした。
最初はすぐに元の世界に戻れると思っていたがどうもすぐにそうは行かないらしいと、それも女から聞いた。
「そうですか……」
女は緑湖をたたえたみたいな悲しそうな瞳で俯く。
俺のことなんて放っときゃいいのに。
俺はケチな交通事故で死んだようだが、こんな所に来る位なら地獄の方がマシだ。
「来いよ」
「あ、……きゃっ」
テーブルについて酒を飲んでいた俺は女の腕を掴み、自分の傍へと引き寄せた。