第6章 三人目 無頼漢リンク※
アディの腹はカラスの野郎に無惨に食われていた。
その目は恐怖で見開かれ血で濡れていた。
俺たちが戻るまで一人っきりで奴らと戦っていたミルは、体を赤く染めながら息を荒らげ、アディの傍でじっと伏せていた。
「お兄ちゃ、私……アディ、守れなくて……ごめんね」
モリーは妹たちに持ち帰ろうと咥えていた飯を取り落とし、キティはその光景に呆然として動かなかった。
ミルはそれから数時間で息を引き取った。
子猫は特に、カラスや鳶《とび》、ヘビや狸、挙句人間のみならず、色んなものに狙われる。
なのに、俺が長く家を空けたから。
しばらくの間俺は妹たちの傍らに佇んでいた。
……何のためにこいつらは生まれて来たんだろう?
海も山も見たことも無く、美味い飯もまだ食えず、伴侶にも出会えずに。
それからしばらくののち。
キティが少し散歩に行ってくるといったまま、夕方になっても戻って来なかった。
俺とモリーが捜しに行った先で妹を見つけた時は、原っぱで野犬に襲われたのだろう、ボロボロの姿になって妹は事切れていた。
一番上の妹は活発な性格だった。
姿も良かったし、生きていたらきっとたくさんの子供を持てたのだろうに。
生き残ったモリーと俺は妹たちが居なくなった以上、住処を変えることにした。
若夫婦の所に行くと、いつものように彼らは俺たちを出迎えてくれた。
「この子達、いつも怪我をしているわね」
「野良だからね……いつも来てたもう一匹も最近は見掛けないし」
キティの事だろう。
「ねえ、うちで引き取れないかしら?」