第6章 三人目 無頼漢リンク※
「モリー、大丈夫か?」
「ん、お兄ちゃんよりはマシじゃないの」
キティが俺の傷をペロペロと舐めてくれた。
「でも奴、結局逃げてったね。うちのお兄ちゃんは凄く強いもん!」
だが本当言うと、もうそろそろ俺たちはそれぞれ自立して暮らさなきゃならない歳頃でもある。
とはいえ親が早くに居なくなりまだ小さい妹たちがいる以上それは出来ない。
妹たちが大きくなり、皆で一緒にあの若夫婦の所に行ける位になったら、俺たちもそれぞれ所帯を持てるのだろうか?
そんなことを考えながら俺たちは元の住処に戻った。
もうすぐそこまでという所まで来ると、ギャアギャアという鳥の騒がしい鳴き声が耳に入ってきた。
……嫌な予感がし走る速度を上げる。
そこには数匹のカラスがバタバタと忙しなく羽根を動かし、地面と空中を往復していた。
一匹の見知った猫が時折飛び上がり再び低い体勢から威嚇をしながら、必死に奴らを追い払らおうとしているようだ。
カラスたちはそんな小さな猫を嗤うかのようにけたたましく喚き続け、銘々のくちばしに咥えた何かを咀嚼している。
俺の体が冷たくなった。
「アディ!!!! ミル!!!」
モリーとキティも俺の後ろからすぐにその場に到着した。
事態を察した兄弟たちもカラスに向かって大声で叫びながら飛び掛り、数分の攻防を繰り返したあとに、奴らは名残惜しそうにその場を離れていった。
息を整える間もなく歩道の脇を見るともう動かなくなった小さな塊が横たわっていた。