第6章 三人目 無頼漢リンク※
俺の名前はリンク。
俺にはかつて家族が居た。
モリー、キティ。 その後に生まれたジル、アディ、ミル。
俺の親は早くに死んだから、先に生まれ体も大きい俺がコイツら兄弟の面倒を見なきゃって思ってた。
真ん中の妹、ジルはいつの間にか居なくなった。
元々病気がちで体が弱かったから多分生き残れなかったんだろう。
野良猫である俺たちの世界は甘くない。
腹が減る日もあったけど、いやむしろ、腹が一杯の時なんて滅多に無かったが俺たち兄弟は仲が良かったし楽しく暮らしてた。
俺たちの住処は空き家の軒下で、そこで持ち帰った残飯で得た肉をそこで爪や歯で細かくして一番下のアディとミルに与えていた。
「お、お兄ちゃん、これ硬いよ」
この妹たちは他の兄弟と比べて特に体が小さいようだ。
「お前はまだ歯が小さいからな。千切ってやるから待ってろ」
俺はすぐ下の兄弟のモリーとキティを連れて、若い夫婦が住む一軒家の家を度々訪ねていた。
彼らは人間だが、俺たち、というか元々猫というものが好きらしい。
俺たちが顔を見せると彼らの庭先でいつも美味い缶詰やいい匂いのする粒の餌を用意してくれた。
ただここは俺たちの家からは若干遠く、半日も歩かなきゃならない。
それは元々縄張りには厳しい俺らの世界ではかなり危険なことで、たまに大きな他の猫に追いかけられたり喧嘩を吹っ掛けられるのも一度や二度では無い。
体が大きいといってもまだ大人にまではなりきれていない俺はしょっちゅう傷だらけになっていた。