第6章 3日目
相手の名前とか聞きたいし私も自己紹介したい。
こんな優しい人と是非とも仲良くなりたい。
「…貴方の名前は?」
「ああ、自己紹介がまだだったな俺はトレイ・クローバーだ。ちなみに3年生でクラスはE組、何か困ったことがあったらいつでも俺を頼っていいぞ」
わたしの聞き方が少し無礼なものであったのだが、やんわりと優しく自己紹介をしてくれた。
どうやら先輩だったみたいである。
やはり先輩と言うだけあって対応が紳士的だ。
あれこれ言ってもケイト先輩も何気に優しかったし。
フロイド先輩とジェイド先輩はどうかと思うけど…
リーチ兄弟のことを思った瞬間に昨日の事がいきなりフラッシュバックしてきて思わず顔が熱を持つ。
「少し顔が赤いが大丈夫か?熱でもあるのか?」
「ぜ、全然大丈夫です!…えっと私は○○です」
「ああ、よろしくな。…それにしても新聞に載ってた通りお前良い香りがするな、他の男に食われないように気をつけろよ?…まあ、男同志だしそれはさすがにないと思うけどな」
「そうですね」
あ、今気づいた。
トレイ先輩はエースくんとデュースくんと同じ赤色のベストを身につけている。
寮については一昨日エースくんたちにちょっと教えて貰ったけどもしかして同じ寮なのか?
そうだとしたら、エースくんたちは他の生徒に私の性別などをバラしていないという事になる。
あの二人軽そうに見えて結構口が硬いんだ。
少しは見直した。
「ケイトから聞いた話によると○○はスマホを持っていないんだろ、こういう時なかなか不便だろうな」
「その通りです…」
「そういう時は俺たちの寮に来ていいぞ、普段は客人を軽々しく招くのは駄目なんだが俺は寮の副寮長だから大丈夫だろう」
トレイ先輩は寮の副寮長なんだ…!
私はそれに感心してしまった。