第2章 I want you to know
ついさっき、家を飛び出した。
『お父さんとお母さんのわからず屋!出てくっ!』と、夕食の途中で抜け出してきた。
空は雪の降りそうな暗い雲。
少し薄着で出てきた事を後悔しながらも、昨日耳にした彼らが集まると言っていた場所まで足を走らせた。
発端は母親の『あなたまだあの子たちと遊んでるんでしょ?いい加減危ないから、他のこと遊んだらどうなの?』と言う話だった。
それに父が言葉を加え、私の友達を侮辱した。
危ない、くだらない、世の中のゴミ、恥ずかしい、親の顔が見て見たい、とか。
良くそんなことが言えるなと呆れてしまう程に父はこの場にいない友達に言葉を投げた。いや違う、私にかもしれない。
握っていた箸を机に叩きつけ、向かいに座る両親を強く睨みつけた。
彼らの近くにいたからか睨みつける方法、相手を怯ませる方法は自分なりに何となく分かっていた。
その睨みが気に食わなかったのか父は私の頬を叩いた。
驚きと、痛みで一瞬倒れた事を私は忘れていたが、駆け寄る母を見て自分が叩かれたのだと理解はできた。
厳格な父は出来る事を好み出来ないことは嫌う。
私が良い例かもしれない。
父を好む私を父は好く。けれど、父を拒み嫌う私を父は愛さない。
そして、冒頭の言葉を両親、主に父に投げつけて玄関目掛けて廊下を走った。