第10章 つよがり
あ
ほら、やっぱり泣いてるじゃない。笑った拍子にポロッと…。あ、あ~あ~、鼻水も…。
「クズッ…」
「…」
「あ、嘘、わかった!」
「…なぁに?」
「こぇね、はふん!」
「え?」
「グシュ。…花粉!だわ!絶対そう!ああー、ほうらわっ」
「ええー?」
ていうか、言えてないし(笑)。
ホントに、盛大に鼻かんでるし…。
「俺ねー、も、秋もきてさぁ。秋花粉?そのうちオールシーズンになっちゃう勢いなんだよね…」
「…可哀想」
「でしょー?自分でもそう思うもん」
「…」
花粉、ね。ふぅん?
よしよしって、また頭撫ぜたら
彼はちょっと目を泳がせて
きゅって、瞑って
そして
両腕がいきなり私に絡み付いてきた。深く。
でも、なでなでは続行~。こっちも腕回して抱き合ってるようなカッコだし。むしろ撫でやすい。
で
微妙な息づかいは聞こえるんだけど、顔が全く見えないから。ホントに泣いてるんだか、よくわかんない…。
「…相葉くん?」
「…」
じゃあ
「雅紀?」
「!」
あ、反応した。
「もぉ…ヤバイからやめてって…」
「え?」
「…花粉がっ、俺もぉ、ヒドイことに、なっちゃうかぁ…っ」
「…」
「うぅ~…。ズヒッ」
「…」
えーっと…
私、花粉飛ばしてますか?(笑)
2016/9/3