第8章 すっぴん
「じゃ、一緒に浴びる?」
「えっ、いーの!?」
「あ、ウソ。やっぱり一人で…」
「いやいや、ちゃんと聞いた。『やっぱり』ナシ。取り消し無理!」
「ふふふっ」
何かの標語みたい。
「あー、嬉しいっ。ねっ、俺、ハルちゃんちでお風呂借りるの初だよね♪」
「そうだっけ」
「そーだよー。なかなか招待してもらえなかったし…。てか、今日でまだ2回目だからね?お邪魔したの」
そう…だっけ?
今日はお泊まりの準備とか何も持っていってなかったっていうのもあって。なんとなーくそのままウチに来ちゃったんだけど。
でも、言われてみたら、相葉くんにそういう流れにうまく誘導された節も…。そうだよね。いつもは迷わずバーから相葉くんち直行がパターンだもん。何も言わなくても。
あ、これ…うまく乗せられちゃったってこと?ウチ来るの狙ってたのかな。あー、それはなんか悔しいかも…。