第4章 Destined future【イケメン戦国】
其の姫は清廉で懇篤。
そうでありながら気丈で一路。
そして何よりも……筆舌に尽くし難い程に見目麗しい姫だった。
だから当然、各国が輿入れを強く要望する。
『我が嫡男の正室に……』
『いや、何なら君主である私の正妻に迎えたい』
凡ゆる大国が、此の姫の為ならどんな援助も準備も惜しまないと望んだ。
だけど姫は……
どれ程熱烈に乞われても、絶対に首を縦には振らなかった。
そんな中、此の姫と信長様の縁談が持ち上がる。
いつかはそうなるだろうと思ってはいたけど、予想よりも早かったな。
どうやら此の縁談は姫の父御が強く望んでいるらしい。
確かに此の時勢、信長様と縁者になれば自分の国も安泰だしね。
其れでもやはり姫は簡単に頷きはせず、焦れた父御は姫を暫く安土に滞在させて信長様との既成事実を作ろうと目論んだ様だ。
何故だか姫も其の提案は拒みもせず、無防備にも単身で安土に入った。