第3章 傀儡-KAIRAI-【イケメン戦国】
此の女……との婚姻は所謂、政略婚だ。
安土近郊の大国である大名より、是非にと推され其の息女を娶った。
俺が望んだ訳でも、から乞われた訳でも無い。
気が付けばは俺に抱かれる立場に成っていただけの事だ。
俺の目指す天下布武に向け、その大国と同盟を結んで共に進もう等と綺麗事は欠片も考えてはおらぬ。
今は未だ我が途行きの邪魔をせぬ程度に、大人しくして居てくれれば其れで良い。
その為にも俺は、預けられたの機嫌を損ねぬよう存分に可愛がってやらねばな。
其の日の昼下がりも俺は声も掛けずいきなり襖を開け放ちの自室へ入った。
驚いた様子を見せたのは一瞬だけで、其の後はいつも通り柔らかく微笑むに何故だか苛立ちが募る。
「信長様……
どうされたのですか?」
「どうもせん。
己の奥に会う為の了承が事前に必要であるのか?」
態とらしく威し付けてもの笑みは崩れない。
まるで能面の様に。