第9章 豊臣の若紫【イケメン戦国】
俺の屋敷に戻って自室に入り、と二人で向かい合う。
「あー……
さっきは『俺が貰う』なんて啖呵を切っちまったが……
が迷惑なら言ってくれ。
何なら信長様にお願いしてまた件の縁談を纏めても良いし……」
こうして二人きりになればどうしても照れ臭く、また上っ面を繕う俺を見つめたは
「はあああ……」
驚く程に大きな溜息を吐いた。
「………?」
少しだけ呆れた様相で微笑んだが再び俺をじっと見つめてくる。
「どうしてそうなのかなぁ、秀吉さんは。
光秀さんだってあんなに気を回してくれたのに。」
「お前…やっぱり光秀と談合してたのか?」
「談合って訳じゃ無いけど、
光秀さんは私の気持ちに気付いてくれてたから。」
「の…気持ち……?」
「うん。
私が誰を好きなのか…
誰のお嫁さんに為りたいのか……」
「誰だ……其れは?」
此所では我慢出来ないと許りに噴き出した。
「今更其れを聞く?
そんなの秀吉さんに決まってるじゃない。」
「………俺!?」
いや勿論、が俺に好意を寄せてる事には気付いていた。
でも其れは只単に《兄貴》を慕う様な物だと……
天涯孤独な自分を引き取って面倒を見てた俺への恩義なんだと……
そう思っていたのに、まさか俺への好意が恋慕だったなんて。
「ずっとずっと…秀吉さんを想ってた。
子供の頃からずっと秀吉さんのお嫁さんに為りたいって。
いつかは気付いてくれると思ってたけど
此所まで拗れるなんてね。
私の想い人は、本当に鈍感なんだから。
でも……そんな秀吉さんだから私は……」
流石に其の先を告げるのは端ないとでも感じたのか、はもじもじと身動き俯いて仕舞う。