第7章 下拵え【薄桜鬼】
「其の程度では“ぴくり”ともせん。
さあ、視覚だけで俺を勃起させてみせろ。」
低く唸る様にそう言い放てば、全裸で腰を下ろして大きく開脚した女の眦からは遂に涙が一筋零れ落ちた。
一糸乱れぬ姿で膝を正す俺の目前で、淫ら極まりない媚態を晒している此の女の名はという。
一月程前に風間家へ嫁いで来た女鬼。
天霧が何処かから連れて来た女鬼だが流石に天霧の御眼鏡に叶っただけも有り、どうやら血統は確かな様だ。
西の鬼を統べる風間家の頭領として、早々に妻を娶る可きであるのは重々に理解している。
そして、其の妻に子を産ませる事の重要性も。
そう為れば当然、俺との性交は必要不可欠であり、更にには俺を最大限に欲情させ依り多くの子種を搾り取る技倆が無ければ為らぬのだ。
俺との目合いを始める前に、其の技倆を身に付けて貰いたいと毎夜《此の行為》を続けている訳だが………
だが然し、其の大義名分を抜きにしても、俺はを愛玩する事を止められない。
そう……此のという女鬼は其れ程迄に身も心も愛らしい女だったのだ。