第12章 ★脅迫★
何とか体を前に出してナイフを腕ごと払いつつ刺突を繰り返す。前に出ないと負けは確定してる。必ず来るであろう足にも警戒しないといけない。男対男だと足を取られると終わりなので足での攻撃はほぼ無いが、女対男だと、女に足を取られた所でどうとでも出来てしまうので、足も出せてしまう。流石にミケ分隊長も色々分かっているから後ろには決して下がらない。
刺突を出した瞬間、ミケ分隊長のナイフとぶつかり力技でナイフを弾き飛ばされた。二本目を取り出そうとする前に腕を掴まれ壁に押し付けられた。
これだから近接戦は嫌い。
「なるほど。確かにいい腕をしている」
「ありがとうございます。それで、悪ふざけはいつまで続けるのです?」
壁に押し付けられた女と押し付ける男。もう何度も経験してきたので、この先に何が待つのか何となく分かってしまう。だからといって、抵抗しない訳ではなく。自分でも往生際が悪いな、と思いながらも左手の袖口からナイフを取り出し、ミケ分隊長の左腕を斬りつけにいくが、いとも簡単に左腕も捕まった。
手首の骨が折れるんじゃないかという力で握られナイフが握っていられず手から滑り落ちる。それは地面に落ちて音を立てた。その音はまるで、私の心が折れる音に聞こえた。
荒々しく唇を貪られる。肉食獣が食欲を満たす為に草食獣を食すように。遠慮無しに。角度を変えながら唾液が漏れるのも気にせず。時折当たる髭の感触が私の意識を現実に縛り付ける。
「んあ……」
上唇を吸っては甘く歯を立てられ、下唇を吸っては食される。酸素が足りず頭がぼーっとしていく。足の間にミケ分隊長の左足がねじ込まれ、膝が下着の上から割れ目を往復する。両手を頭上で纏められ左手一本で力の入らない体を支えられ、開いた右手は子供が母親を求めるように荒く胸を揉み始めた。
「んんっ……」
ガーディガンとブラウスのボタンが外され胸が露わになれる。ブラも上げられ胸を隠す物が何も無くなったら腕が解放された。ナイフで斬りかかる余力も無く、ただ重力に任せて尻餅をつく。
金属の触れる音が聞こえ目を開ければ、グロテスクなソレが胸へと押し付けられていた。
「胸で扱け」
言われた意味を理解出来ない。むねで、何?
「確かに、ハニトラはしていないらしいな」