第9章 演習
「遺体の処理はやっておく。今日、君にその服を着せたのはリヴァイと共に演習をしてもらいたいからだ」
「演習?」
「参加するのは、分隊長以上の者と分隊長が選んだ者だけだ」
「何故私なのですか?」
「俺の相手が務まるのがお前しかいなかっただけだ」
ああ、理解した。そういう意味でも、調査委兵団にとって私は欲しい人材なのだろうか。
「それくらいなら、別に構いません。私もリヴァイ兵士長から学びたい事が多くあります」
兄弟子らしき人と戦うのは、やはり楽しそうだと感じる。あとは、幹部との顔合わせの意味もあるのだろうけど、これ以上関わるとケニーに何か言われそうだな。ああ、死体の事も報告しないと。本当に仲間だったのかも怪しいし、ああ、そろそろナイフを清めないと。
リヴァイ兵士長が遺体のそばに来たのが気配で分かる。横目で眺めていると、私のナイフを抜き取ると、血を拭っていた。
「リヴァイ兵士長。わざわざ血を拭っていただかなくても大丈夫です。汚れてしまいます」
「構わん。刃こぼれはしてねえが、一応研いだ方がいいな」
「なんだ、リヴァイもアリアが気に入ったのか」
「とりあえず、いい加減離れろ。ソイツが汚れる」
「酷い言い草だな」
世間一般的な女子は、“私の為に争わないで!”とかって思うシチュエーションなのだろうか?
だいぶ精神的に持ち直してきたので、そろそろ離れようとしたが、逆に腰に回された腕の力が増してしまい更に密着する結果となった。ええ……。
リヴァイ兵士長からの不機嫌オーラがグサグサ刺さる。怖いんですけど!?
「いい加減離せ。飯も食わせねえつもりか?」
「では、私が食べさせよう」
「いやいやいや! それくらい出来ますから!」
「まだ手首も本調子では無いだろう?」
誰のせいだ!