第1章 104期訓練兵団
「でも、全く知らない人だから、お友達からにしてきたの」
「お前、それって大丈夫か? 何ならアタシが助けてやろうか? 高い貸しになるけどな」
「お断りだよー。私、返せないもん」
「もう! ユミルったら、アリアが困ってるでしょ!?」
かれこれ三年。私たちの進路は、クリスタが握っている。ユミルはクリスタに付いていくし、私は護衛の為に付いていく。なんだかんだ、楽しかった。
――楽しかった? この、私が……?――
「どうしたの? アリア」
「ううん、何でもない。疲れたから、もう寝るね」
二人に声をかけて、布団に潜った。
そうか、楽しかったんだ。104期の皆と過ごす時間が。普通に名前を呼ばれることが嬉しかったんだ。クリスタの天使のような笑顔に癒された。私も、ユミルと同じかもしれない。役目では無く、普通にクリスタに死んでほしくないのかもしれない。
だから、ケニーは殺すな、と言ったのだろうか? 分からない。まあ、ケニーの言う事なんか何も分からないけど。
友人ってこういうものなのかな。なんか、暖かい。普通のお布団も、笑顔も食事も。何もかもが暖かい。
そういえば、最近頭がスッキリしてる気がする。熟睡できている? 明日も何事も無いといいな。うん、無いと良い。
そんな事を考えていたら、いつの間にか眠っていた。