第4章 ★初陣:思いの翼★
それを見届け、私は巨人の方へ向き直すが、既に巨人は骨だけの状態だった。
ミカサが倒した? でも、頭蓋骨はどこへ……? まぁ、いいか、ミカサとアルミンがいる屋根の上へと立体機動で飛ぶ。同時にコニーが飛んできた。
「三人とも無事か!?」
「ああ!」
「とにかく移動するぞ!」
「待って、十五メートル級が二体居る」
十五メートル級の巨人が二体ゆっくりと歩いてきた。しかし、何故か二体は向き合っている。
「いや、あの巨人は……!」
ミカサが戸惑った声を出した。ミカサが動揺するなんて、珍しいな。それに、この二人が居てエレンが居ないのが気になる。
片方の筋肉質な巨人が吠えた。威嚇している? そういえば、私が外に出る時に聞いた咆哮に似ている。それを見たもう一体の巨人もうなり声をあげた。意味が分からない。まるで縄張り争いでもしているみたい。そして、筋肉質な巨人は、格闘術の構えを取った。全員が息をのんだのが分かった。そんな巨人、聞いたことが無い。今日は夢でも見ているの? しびれを切らした相手の巨人が無防備に突っ込む。そんな直線的な動き、この巨人には通用しない。そう思った時、左手によるビンタが炸裂し、首から上が放射線を描きながら塔へと吹き飛んだ。
巨人を殺す巨人。同族狩り? いや、そんな生易しい物じゃない。まるで、エレンが巨人に向けていた殺意と同じくらい強い殺気を感じる。これは、巨人への憎しみ?
頭を失った巨人は倒れ、なおも動こうとするが、筋肉質の巨人がうなじを踏みつけた。
「と、とどめを刺した? 弱点を理解して殺したのか」
「それだけじゃない。強い殺気を感じる。でも、それは私たちへじゃない。巨人に向けられている」
「格闘術の概念もあるように感じた。アレは一体……?」
考え出すと止まらない私達。しかし、頭の回らないコニーが正論で諭してきた。
「奇行種って言うしか無いだろ! わかんねぇ事のほうが多いんだからよ。とにかく、本部へ急ぐぞ」