第4章 ★初陣:思いの翼★
「駐屯兵団の指揮の元、補給支援、情報伝達、巨人の掃討等を行ってもらう!」
私は、コニー、ユミル、クリスタと同じ班になった。任務は、中衛部隊の支援。私は、準備の為に装備の点検を行っていた。そんな時に、誰かがぶつかってきたのだ。思わず尻餅を付いてしまった。人の気配が多すぎて、回避できなかったとは、ちょっと情けないというか、この雰囲気にのまれてしまって居たのか……。
「邪魔だ! って、悪い……アリアか」
「ジャン? どうしたの?」
「何で、よりによって今日なんだよ……俺は明日から内地行きだったんだっ!」
「ちょっと落ち着きなよ!」
「落ち着いて死にに行けって言うのかよっ!」
「違うよ!」
「じゃあ、お前が体でも使って落ち着かせてくれるのか!? なあ!?」
そういえば、死を感じると人は生殖本能が高まるって、ケニーが言ってた気がする。聞いたときは分からなかったけど、多分、レックスみたいな事をしたいのかもしれない。男尊女卑ってこういう所から来ているのかな。すごく、悲しくなってきた。ジャンはまだまともな方だと思ってたのに。
「落ち着いてよ……」
「おい! ジャン! この三年間を思い出せ! 三年間、俺たちは何度も死にかけた。実際に死んだ奴もいる。でも、俺たちは生き残った! 今日生き残って明日内地に行くんだろ!」
通りがかったエレンはジャンに諭すように言うと、私へ手を伸ばした。その手を掴むと、私を引っ張り上げて立たせてくれた。
「悪かったなアリア」
それだけ言うと、ジャンは去っていった。ひとまずは助かったな。さて、問題はさっきから殺気を隠そうともせずにこちらへガンを飛ばしているレックスだ。流石に自分から近づくようなマネはしたくないし、かといって放置したら流血沙汰になりかねない。面倒くさい。
「お前さ、レックスに迷惑してるんじゃないか?」
エレンの言葉に頷きそうになったが、見られると何をしでかすか分からないので、辞める。