第3章 初陣:対巨人
845年。今から5年前、突然現れた超大型巨人及び鎧の巨人によって、すべての日常が壁と共に破壊された。そして、100年の空腹から解き放たれた巨人により、人類は再び蹂躙された。人類はウォール・マリアを放棄。二割の人口と三分の一の領土を失い、活動領域はウォール・ローゼまで後退した。
訓練兵団を卒業した者には、三つの選択肢がある。壁の強化に努め各町を守る駐屯兵団。犠牲を覚悟して、壁外の巨人領域に挑む調査兵団。王のもとで民を統制、秩序を守る憲兵団。憲兵団に入れるのは、成績上位十名のみ。
私は、クリスタを守らねばならないので、クリスタが憲兵を選ぶと、その時点でケニーの下へ戻る事が決まっている。まぁ、彼女の立場だと憲兵にはならないだろう、と考えている。
「はぁ!? 調査兵団にするって!?」
エレンの声が響き渡った。私は思わず手を止めて立ち上がる。
ここは、トロスト区にある壁の上。壁の上に付けてある固定砲台の調整が私たちに与えられた初任務だった。
「コニー、お前8番だろ。あんなに憲兵団がいいって!?」
そう、コニーがいきなり調査兵団に入る、と言い出したのだ。
「エレンの昨日の演説が効いたみたいね」
ミーナがこちらへと歩み寄ってきた。正直、早死にしそうなので、ミーナとはあまり会話をしたくない。死なれたら悲しい気持ちになるのなんて、ごめんだ。
「うるせぇ! 俺は、自分で決めたんだよ!」
照れているのか、頬が赤くなっている。コニーは……割としぶとく生きそうだ。逃げ足が速いというか、隠れるのが上手そう。
「あのー……皆さん」
サシャが恍惚とした表情でこちらにやってきた。嫌な予感しかしない。
「上官の食糧庫からお肉取ってきました!」