第9章 【美しいもの】FGO/マーリン夢
懐かしい家族と過ごしていたと思ったのに、ふわあっと視界が明るくなって、ぱちぱちと数回まばたきをすると、目の前には綺麗な花が一輪差し出されていた。
「やあ。迷子かな?」
『・・・マーリン。これは、貴方が見せていた夢なんですね?』
「まあまあ。素敵な時間は過ごせたかな?」
二度と現実に会えないからこそ、気付いた時の喪失感は大きい。けれど、分かってはいても、やっぱり幸せには変わりなかった。私は、マーリンの眼を見つめる。
『・・はい、とっても。懐かしく幸せな”夢”でした。』
「それは良かった。さあ、行こうか」
『えっ?どこに行くのですか?』
「あそこだよ!」
マーリンの指さす方を見れば、あの塔が建っていた。私の眼は大きく開いた。
『覚えてくれていたのですか?』
「なに、サービスだとも。」
そっと目の前に差し出されていた、花を受け取り、マーリンの手をとった。そのままあの塔へと案内される。