第1章 【出逢い】FGO/ギル落ち
あれから一夜明け、マイルームにて、俺、アキレウスはマスターの傍にいるように先生に言われ、ずっと此処にいる。
ベッドの上ですやすやと眠るマスターは、まるで昨日のことが嘘だったかのように安らかに眠っている。
普段、周りへの気配りを欠かさないマスターが、無邪気に眠っている様子を見て、可愛いと思わない奴はきっといないだろう。
ベッドの脇に腰かけ、優しくマスターの頭を撫で、白い頬に指を滑らせる。
「もっと頼れ。マスターは背負い過ぎだ・・」
そのまま指を無防備な唇に運ぶ。
「・・・やわらけぇ・・」
時刻は昼時。先生は機嫌を損ねているであろう英雄王の相手をずっとしている。
カルデアの奴らは仕事から手が離せないだろうし、立香は英雄王と募る話があるらしく、マシュもそこにいるだろう。
ごくり、と唾を飲み込む。
今の俺はただの狼だ。
少しの褒美くらい貰ってもいいだろう。
ドクドクと心臓が高鳴っているのが分かる。
マスター、沙織はまだ目を覚ます様子はない。
ゆっくりゆっくり沙織の唇に俺のそれを近づける。
「・・・・・・沙織・・」
あと、数センチ・・。
『ん、ぅ・・・・』
「・・・っ!?」
あともう少しのところで、マスターの眼がゆっくりと開かれた。
さすがの俺も驚いて、自慢の足がここで発揮される。