第5章 【騎士と王】FGO/ギル夢/主人公・女騎士/切
『報告します。任務は確実に成就致しました。任務先の住人もみな、無事です。こちらの兵に何人か怪我人は出ましたが、死人はいません。』
「うむ。今回も良くやった。後で褒美を送ろう。」
『はっ。有難き幸せ』
報告を終え、血の匂いがする身体で家路に着く。やっとの休息だ。
ギルガメッシュ王の部屋を後にし、部下たちにも休暇の指示を出し、熱く照り付ける太陽を見上げる。
遠い。ギルガメッシュ様は太陽のように、遠い。
王の元を離れる際、「シドゥリ!」と呼ぶ声が聞こえる。途端に私の胸はきつく縄で縛り上げられたかのように、苦しくなる。王が名を呼ぶのは、彼女だけだ。分かっている、はずなのに。キュウキュウと胸が叫び声をあげている。自然と変な汗が溢れて、眉間に皺が寄る。
私は阿呆だ。無礼者だ。ないものねだりだ。我儘だ。
『こ、の・・・!!!・・・治まってくれ・・お願いだから・・っ』
浅い呼吸のまま一つ深呼吸をして、気を取り直す。他の者に怪しまれないよう、足早に城を後にした。