第1章 【出逢い】FGO/ギル落ち
「沙織ちゃんにも、君を最優先にして守ってくれるサーヴァントが必要だからね。」
「うんうん!沙織ちゃんならきっとまた素敵なサーヴァントに出会えるよ!」
『そう、かなぁ・・・。不安だよ立香ちゃん・・。』
そう言って不安そうに長い睫毛を伏せて、今にも泣きだしてしまいそうな沙織ちゃんの瞳・・・。
「あーーもう!かーわーいーいー!!」
『わぁっ!・・り、つかちゃん・・!』
そんな可愛い彼女を私は抱きしめずにはいられなかった。
ふふふふと笑いながら満足そうに、そのしなやかな黒髪に頬ずりしていると、べりっと逞しい腕に剥がされた。
「それぐらいにしておいて頂けませんか。マスターが今にも窒息しそうです。」
そう言って私の襟を掴んで言い放ったのは、栗色の長い髪といつもの柔らかさと違って尖った翡翠の瞳、ケイローンだった。
「け、ケイローンさん・・・」
こっわ。
この人沙織ちゃんのことになると理性飛んでるよねこっわ。
今にもその瞳に射抜かれそうになっている私。
『けほっ・・けほ』
「おー大丈夫かぁマスターさんよぉ・・」
そう言って沙織ちゃんの背をさすっているのは、ふわっとした翠の髪に金色の瞳、アキレウスだった。
『大丈夫、ですよ・・・先生、立香ちゃんを下ろしてあげて下さい』
「マスターがそれで良いのなら」
そう言うとケイローンは私をそっと下ろしてくれた。
「はぁ、助かったあ!ありがとう沙織ちゃん!好き!」
そして私は懲りずに沙織ちゃんの胸に飛び込む。
今度はやさしくふんわりと抱きしめまたすりすりと頬ずりをする。
「んー!いい匂い!」
『立香ちゃんたら、もう・・』
と言いながら、私の背中にそっと腕を回してくれた。
イエス。マイエンジェル、沙織ちゃぁん。
ニヤニヤしながらどやあと二人の英霊に目を向けると、羨ましそうに頬を少し紅く染めるアキレウスと今にも弓を出現させそうに拳がワナワナと震えているケイローンの姿があった。
(沙織から魔力供給・・・いや、ダメだ。押さえろ俺・・!)
(今すぐ彼女から離れなさい・・・ワナワナ)