第7章 愛する人【愈史郎】
珠世様
相変わらず人間共は
塵屑ばかりです。
鬼の居ない世になったにも拘わらず、人間同士で殺し合いをしています。
恐ろしい兵器を作り出したり
一体、いつになったら
貴女の望んだ、平穏な世になるんだろう。
しかし……いくら俺の血鬼術があっても
こう一面を焼け野原にされてしまっては、流石に屋敷も全て失くなってしまった。
まぁ、俺は日の光にさえ当たらなければ、特に大きな問題はないからいいんだが……
あ、あれだな。俺は声をかけた。
「おい。大丈夫だったか?」
「愈史郎さん!?」
「夜目は慣れているだろう?炭治郎達は……」
「戦争に……」
「だよな……」
俺は大きな溜め息をついた。
「愈史郎さん、心配して見に来てくれたんですね?」
にこーーーっと、笑顔の禰豆子。
その両手には小さな子が二人、そして赤子を一人背中に背負っている。
「気色の悪い事を言うな。黄色い頭も行っているのか?」
「ふふ、泣きながら行きましたよ。お兄ちゃんに引き摺られて、ね」
「いつも通りだったね」
ニコッと笑顔を出すようになったのは、カナヲ。
もちろんその手にも子供の手が握られ、もう片方の手は今にも産まれそうなほどの大きな腹を抱えていた。
「伊之助は、まぁ、張り切ってたね。猪突猛進だけは避けてほしいけど……」
アオイにはもっと子供が沢山いて、上の子が赤ん坊を背負っている。
「今からどうするんだ?」
「昔、住んでいた家に行ってみようかと思って」
禰豆子が答えた。
「彼処なら、もうない。先程、見てきた」
「え……」