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せめて夢の中だけは ~【鬼滅の刃】短編集~

第2章 失くし物 ~蝶屋敷にて~


その声は誰にも聞こえず

蝶屋敷に不気味に響いた……



「1……、2……

 うふっ、うふっ、うふふふふふふふっっっ……」




*******




「ないっ!!!ないっ!!!ないっ!!!」


「アオイさん?」
「どうしたんですか?」
「血相を変えて」

「なほちゃん、すみちゃん、きよちゃんっ!!ないのっ!」


「何がですか?」


3人からの素朴な疑問に、少しだけアオイが落ち着きを取り戻した。


「えっと……洗濯物、取り込んでくれた?」

「いえ。何か失くなったんですか?」

「……うん」


取り込んだシーツをギュッと抱き締めたまま、アオイが下を向いて黙りこんでしまった。

そこへ現れたのが、瓢箪を手に携えた炭治郎。

「あれ?アオイさん、どうしたんですか?
 ん?すごく困ってます?」

「た、炭治郎君っ!」

何故か焦るアオイを他所に、なほ、すみ、きよの三人が先程アオイから聞いた話を伝える。

「洗濯物が失くなったんです」

「えっ?洗濯物?」

その言葉と同時に、炭治郎がアオイの顔を見ると

「うん……」

顔を真っ赤にして俯くアオイ。そんなアオイに、

「何が失くなったんですか?」

澄んだ瞳の炭治郎が聞いた。


「えっと……#$%&……なの……」

「ええっ!?声が小さくて聞こえなかったんですけど!?」

大きな声で聞き返す炭治郎。


いつものキビキビとした様子が伺えないアオイに、首を傾げる炭治郎。

その要領を得ない言葉と、アオイのモジモジした態度で話が全く進まない。


そこへ現れたのは ―――――








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