第1章 勘違い 【伊黒 ❤️ 甘露寺】
問いかけた鏑丸の表情が、微妙に変化する。
何故だろうか?
珍しく俺に何も伝えてこない。
なんだ?俺がお前以外を愛でるのが、気に入らないのか?
馬鹿だな、お前は俺の相棒だろう。
お前なら俺の背中を押してくれると思っていたが……
いや、違うな。蛇に背中を押されている場合じゃない。
さりげなくだ、さりげなく。
さりげなく誘えばいいんだ。いつものように。
俺はいつも、気持ちよく何でもペロリと平らげていく甘露寺を見るのが、楽しいんだ。
見ているだけの幸せだ。
それぐらいなら、俺も享受していいだろう。
なぁ、鏑丸。
だけど……何故いつになく、怯えた目で俺を見るんだ?
………………
さぁ、蜜璃!聞くのよ!聞くの!
伊黒さんは、鏑丸をどう調理するのか!
それだけよ!蜜璃!!!
――そして二人は同時に声を掛け合う。
「この後、鰻でも食いに行かないか?」
「あのぉ、蒲焼きですか?それとも白焼き?」
――互いの勘違いに気づかないまま……
終❤️