第2章 失くし物 ~蝶屋敷にて~
そう。実はカナヲは、ずっと見ていたのだ。
伊之助が、干してあったズロースを手にした瞬間から……
そして炭治郎以上に、タイミングを逃し声をかけそびれていた。
この騒ぎは、炭治郎がアオイの素早い動きに感心し、見とれていたせいで止めるのが遅くなったが、
その後すぐに
長男らしく皆を纏めて、落ち着かせていた。
だけど、善逸と部屋に戻ったときには
二本立っていた茶柱も、湯呑みの底に沈んでいた……
―― その夜 ――
アオイの動きを見ていたカナヲは、しのぶに昼間の事を報告し、
しのぶは
「もう一度、鬼と戦うことに挑戦してみない?」
と、アオイを鬼殺隊の前線で働かないかと、誘っていた……
そして、かまぼこ隊の3人は
「ああっ!それで雌の臭いがしたのかっ!」
「何それっ!どんな匂い!?すっげー良い匂いしたんでしょっ!?ねえっ!ねえっ!ねえっ!」
「…………」
「何~炭治郎、聞き耳たてちゃって、むっつり助平なんだからっ」
「紋逸、子供の雌の臭いだぞ?嗅ぎたかったのか!?」
「あ~子供ねぇ……」
「…………」
夜遅くまで話し声が聞こえていた……
その数日後には、また、過酷な任務が待ち受けている……
嵐の前の静けさ……
いや、
少し騒がしい年相応の“少年少女の話”
そんな1日もあったのだ。
終