第10章 壊れた関係
「んっ、........あっ、...はっ、あっ....」
ベッドの上、私をうつ伏せに押さえつけ、腰を掴み上げ突き挿すような注挿を繰り返す。
ギシッ、ギシッと軋むベッドの音が、彼の注挿の激しさを物語っている。
「あっ、お......ねがい......っあんんっ!」
動きを緩めるか、一気に終わらせてほしいと言いたくても、彼はそれを簡単に阻止してくる。
彼に初めて抱かれてから五日、何故か、彼は毎晩私を求めてきた。
会話らしい会話は何も無い。
ドアベルが鳴らされ、ドアを開ければ彼がいて、噛み付くようなキスをされ、抱かれる。
その繰り返しだ。
彼が発する言葉は私の名前と私の発言を阻止する言葉だけ。
「セナ」
ただ、行為の中で、彼は切なそうに何度も私の名前を呼ぶ。
最初の内は何故なのか分からなかったけど、気づいた事がある。
多分彼は、..........傷ついたのだと。
私と男女の専属契約をした彼は、ぱったりと女性との噂が無くなった。
悪戯は沢山されたけど、彼は確かに無理強いはして来なかった。彼が言う通り、彼なりの手順を踏んでいてくれたんだと今なら分かる。
それを裏切ったのは私だ。
だって、彼は初めから私に特別な感情はないと、はっきり伝えてくれていた。
それを承知で私も付き合うと決めたはずなのに....
彼の気持ちを勝手に欲しがって、彼の言動に勝手に不安になって、他の人の優しさに甘えてしまった。
彼は、彼なりの誠実さを見せてくれていたのに..........
プライドの高い彼を、私が傷つけたんだ。
だから、彼の怒りが治るまで、彼の行為を受け止めようと思った。
そして、届かないと知ってはいるけど、ちゃんと気持ちを伝えたい。