第7章 キャンパスライフ
エレベーターを待っていると社長が来て、同じエレベーターを待つ為、私の横に立った。
「...........お疲れ様です」
会えて嬉しいけど、何か話さないと気まずい。
「ん.........」
でも、社長からは一音だけの素っ気無い返事。
さっきまで、紳士的なイケメンと一緒にいたから、ひどく寂しい。
ポーンとエレベーターが着いて、社長が先に乗り込み、私が後に続いた。
「20階でいいですか?」
「ああ.....」
さっきより一音増え、二音の返事を聞いて、20と21のボタンを押した。
「...........映画の話が決まったらしいな」
エレベーターのドアが閉まり動き出すと、社長が話しかけてくれた。
「あ、はいっ。決まりました」
話しかけてくれるなんて嬉しくて、すぐに後ろを振り返った。
壁にもたれる社長は今日もラフな格好だけど、スタイルが良くてカッコよくて、やっぱり見惚れてしまう。
「私、女子高生の役なんです」
「最近まで高校生だったんだ。そのまま演じられそうだな」
「はい。頑張ります。相手役の方も凄く優しくて良い方で、楽しみなん...わっ!」
大分慣れたけど、社長はいつも急に手を引っ張って来る。
.........でも、その後優しく抱きしめてくれる腕に私は逆らえない。
まだ.....契約は続いてるって事でいいのかな。
半信半疑で、彼の胸についた頬を少し離して見上げると、彼は優しくキスをしてくれた。
「.....んっ.........」
........やっぱり........彼が好き。
こう言う時は、遊びでもいいからと心が負けてしまう瞬間で、彼の舌に翻弄されてしまう。
「セナ、契約は続いている。貴様の初めては俺が全てもらうと言う約束を違えるな」
仕上げのキスがデコに落とされ、彼は一足先にエレベーターを降りて行った。
...........なに?
私が........約束を違えるわけない。
心の準備ができていないだけで、私の初めては全部彼に捧げると、とっくに決めている。
彼の行動も心もいつも突然で、私はやがて訪れる嵐に全く気づかないまま、彼が触れた唇に手を当て、その熱を感じた。