第6章 助言
『信長はね、遊びの女とは連絡先は交換しないの。鬱陶しいんですって』
また、麗美さんの言葉が頭をよぎった。
「そんなの、付き合ってるって言いません、そんなのただの..........」
セフレって言うんじゃないの?(まだしてないけど)
でも、この言葉を口にしてしまったら本当にそれだけになってしまいそうで........
「セナ、貴様はこの関係に納得して俺と専属契約をしたはずだ」
「っ、納得って.......体だけの関係なら専属契約の話は無しにしてほし....っん!」
話してる途中なのに、それを遮る様に唇が塞がれた。
「やっ、ん..............」
頭を押さえつけ強引に差し込まれる舌に甘さはない。
「やだっ............やめてっ!」
ドンッと、彼の胸を必死で押して、体ごと離れた。
「貴様に選択肢はない。専属契約をした時点で貴様は俺のものだと言ったはずだ」
チェストプレスに腰掛け、その前に震えて立つ私に、彼は責める様に言葉を吐いた。
「.......そんな、私は人形じゃありません。こんなの、無理です」
「納得して薬も飲んで、俺に抱かれる準備もできているはずだ。今更逃げられると思うな」
逃げるなとか、俺のものだとか......好きじゃないって言うくせに、何でそんな事言うの?
「.........っ、社長の考えてる事が分かりません」
あなたの言葉に、私はどうしても一喜一憂してしまう。
「ふんっ、他人を分かろうなど所詮無理な事。興醒めだ、出て行け」
彼はもう、私がまるでいないかの様にチェストプレスのバーを押して、筋トレを始めた。
『彼の女ぶったり、分かろうとしない方がいいわ。その場で捨てられるわよ』
またもや麗美さんの言葉を思い出す。
私は、捨てられてしまったんだろうか........
そんな事を聞く勇気はもうなくて、その場から逃げる様にジムを後にした。