第38章 夢が見せる奇跡 〜年末年始特別編〜
「………なる程、名前が気に入らんから腹の中でストライキとは…中々こやつもやりおるな」
布団の中の私のお腹をのぞいて信長はそっと手を置いた。
「ふふっ、顔も信長にそっくりだったけど、気性も似てそうだね。あーでも、カッコよかったなぁ〜」
旦那様も息子もカッコいいなんて、こんなに幸せでいいんだろうか……
「夫の前で堂々と他の男を褒めるとは、妊婦でなければ仕置きものだな」
うっとりと目を細める私に信長は意地悪く言って笑う。
「もー、自分の息子でしょ!」
「息子と言えども貴様が褒めていいのは俺だけだ」
笑いながら自分の息子に嫉妬をする信長は私に短いキスをする。
「この子の気にいる名前、二人で考えようね」
「そうだな」
再び唇が重なり深く口づけられていく。
「ん……っ、ぁ、…まっ、待って信長……、お腹が……」
「どうした?」
「……なんか…始まったかも……」
お腹がじわじわジクジクする…
「名前が変わると分かってこやつのストライキも終わりのようだな」
「うん、やっと会えるね」
「病院に連絡して準備をしてくる。待てるか?」
「うん、ありがとう。あ、信長!」
ベッドから出ようとする信長を呼び止める。
「何だ?」
「いつもありがとう。大好きだよ」
「俺も愛してる」
チュッと、気持ちと同じキスを軽く落として、信長は部屋から出て行った。
外を見れば空が明るくなり始めている。
「今日が誕生日になるんだね」
新年の夢が見せてくれた少し先の未来の赤ちゃんの姿。
「ママも頑張るから、一緒に頑張って産まれてこようね」
出産の準備に入ったお腹を撫でながら、私は家族三人の未来を思い浮かべた。