第34章 告白
(あっ、週刊誌…落ちちゃったんだ)
落ちている雑誌を拾おうと手を伸ばした時、信長の手が先にそれを拾い上げ近くのゴミ箱へと投げた。
「あっ、待って!」
私はその雑誌を慌ててゴミ箱から拾ってパッパッと埃を払った。
「?そんなもの捨てろ」
信長は訝しげな顔で私から雑誌を取り上げようとしたけど、
「お願い、写真だけ切り取らせてっ!」
私は咄嗟に背中に隠してそれを阻止した。
「はっ?」
「信長の愛犬散歩写真なんて、レア中のレアなんだから捨てられないよっ!」
恋人である前に、彼のファンでもある私にとって、愛犬を連れて歩いてる写真なんてきっと二度と手に入らないっ!
「阿保、そんなものより実物を見ろ!」
呆れ顔の信長は私を抱き寄せると、ちゅっと唇を奪ってきた。
「なっ、何!?」
「写真では、こんな事はできんだろう?そんなつまらん物は今すぐ捨てろ」
「うーー、そうだけど」
写真にキスができるとかじゃなくて、愛犬散歩写真は本当に貴重なのに…!
「分かったのなら捨てろ」
「うっ、……分かったよ」
(まぁ後で拾えばいっか)
「後で拾おうなどと考えるなよ?」
「かっ、考えてないよっ!」
(バレてるっ!)
「ほらっ、人を待たせてるんでしょ?早く行こっ!」
疑いの目を向ける信長の背中をぐいぐいと押して部屋を出るように促すと、彼は顔だけを後ろに向けてきた。
「貴様…約束を破れば、3日ではすまさんからな、よく覚えておけ」
「はっ、ハイっ!絶対しませんっ!」
とてつもなく恐ろしい言葉を言われてその時は萎縮したけれど、ファン心理を舐めてはいけない!
申し訳ないと思いつつも、私はその後部屋に戻った際にこっそりとその写真を切り取りバレない場所へと隠した。