第33章 プレス発表会
「そりゃあ最初は遊ばれてるって、すぐに捨てられるって思ってたけど…」
信長の側にいる事が苦しくて逃げ出したあの日、私を遊園地まで追いかけて来てくれた信長は、
『セナ.......俺は、.....貴様を愛してる』
観覧車の中でそう言ってキスして抱きしめてくれた。
あの日から一度だって信長の気持ちを疑ったことはない。
「…っ、信長、今、どこにいるの?」
どうして連絡くれないの?
「会いたいよ…」
阿呆って、笑えって、いつもみたいに言って。
「信長…」
ベッドの上で膝を抱えて信長の名前を呼んだ時、ブブ、ブブ、と私のスマホが震えた。
バッ!とすぐにスマホを取って画面を見ると、
「信長っ!」
信長からの着信!
「っ、もしもしっ!信長っ?もしもしっ!?」
「……ふっ、そんなに叫ばなくても聞こえてる」
きっと耳が痛くなるほどの大声だったんだろう。
「ご、ごめん、信長からの着信が嬉しくて…」
不思議だ…もう心が温かい。
「随分と大変だったみたいだな、大丈夫か?」
「うん、うん、大丈夫っ!ちょっと落ち込んでたけど、信長の声を聞いたら元気が出た」
「そうか」
「あの、…今、どこにいるの?いつ帰って来るの?」
本当は、今すぐに会いたい。
「なんだ?俺に会いたくなったか?」
「…っ、うん」
「素直だな。だがまだ弱い」
「え?」
「俺に会いたいのなら、もっと強く願え」
「……どう言う…意味?」
「意味などない。会いたいと、もっと強く口に出して俺を求めろと言っている」
「?…信長に、会いたい」
「まだ弱い」
「会いたいっ!」
「ダメだ」
「っ、….」
一体、何を考えてるの?
「貴様の会いたいは、こんなものか?」
「っ、会いたい、信長に会いたいっ、今すぐに会いたいっ!」
こんなに叫んだって、信長は今、外国にいるんでしょ?なのに…
「良いだろう、合格だ。そのまま玄関に走ってドアを開けてみろ」
「え……っ?」
もしかして…
スマホはベッドに投げ捨てて玄関へと走った。
ガチャッ!!!
勢いよくドアを開けると、
「待たせたな」
「…っ、」
目の前には、スマホを片手にニヤリと笑う大好きな人の姿が…
「セナ、反撃開始だ!」