第24章 大人な彼との付き合い方
「急にどうした?」
「私に、お仕事の依頼って他にも来てるの?」
「来てない事はないが...」
「勝手に断ってるって事?私に相談もなく?」
「相談するほどの内容の仕事ではないからだ」
「だからって、私がいつもオーディション受からなくて落ち込んでるの知ってるのに.....」
「それはそれ、これはこれだ。俺は貴様の彼氏である前にプロダクションの社長だ。貴様と社にとって一番いいと思う方法で売り出すのは当たり前だ。それに、来ていると言ってもバラエティやトーク番組ばかりで、俺たちの事を根掘り葉掘り聞こうとする事は目に見えてる。この芸能界を生き抜いて来た百戦錬磨の奴らにまだこの世界に入ったばかりの貴様が太刀打ち出来るはずがないだろう」
久しぶりに見る信長の厳しい顔と声。
「ごめん......なさい」
信長の言う事は正しい。
守られるのも嬉しいし、とても感謝してる。
「 セナ、俺は別に貴様を頼りないと思ってるわけじゃない」
「だったら、教えて欲しかった」
信長が私が傷つかない為にしてくれてるって事も分かってる。でも、
「信長と一緒に、私にも考えさせてほしかったのに......」
これは、わがままなの?
好きな人に、仕事でも私生活でも守られて生きているのに、私はわがままを言ってる?
「私だって、自分の事は自分でできる様になりたい。少しでも、信長に近づきたいのに.......」
「セナ..........」
信長が手を伸ばして私の頬に触れようとした時、
「では準備が整ったので撮影を開始します!」
編集長の合図で現場は撮影モードへと空気が変わり、信長の伸ばされた手と、私達の話も中断され一旦終了となった。