第22章 Etigo
「おはよう!」
次の日、支度を覚ませ部屋のドアを開けると、ケイティのドアップ!
「お、おはようございます。.あの.....ケイティ......怒ってる?」
「はっ?何が?あんたと社長が謙信様を怒らせて勝手に2人で消えて私を1人会場に残していった事かしら!?」
何て分かりやすくトゲトゲした態度。
これはもう、完全に怒っている。
「は、はい、その....ごめんなさい!!!」
チラッとドアの向こうの信長が出てきて助け舟を出してくれないかなと、期待をしたりしたけど、急に予定を変更して北陸で一泊をしたため、早朝から秀吉さんに起こされPCに向かって仕事をしていたから多分無理だろう。
どうやら私達はお互いに、昨夜の幸せなツケを払わなければいけないらしい。
「謙信さん、やっぱり怒ってた?」
「かなりね。MV自体を白紙に戻す!とか言い出して、佐助ちゃんと幸村ちゃんが宥めて、何とか落ち着いたけど....」
「そうなんだ。そんな所に一人置き去りにしてごめなさい。今から佐助君達にも謝りに行こうと思って」
「あら、彼らなら昨夜のうちにスタッフ共々撤退したわよ」
「えっ?」
「だってここ、謙信様の地元でしょ?信長ちゃんのいるホテルには居たくないって謙信様が言って、佐助ちゃんの運転で帰ってったわよ」
「そうなんだ」
佐助君に後で謝らないと。
「でも、何で謙信さんはそんなに信長の事を嫌うんだろう?」
確かに俺様同士、気が合うとはとても思えないけど.....
「あぁそれはね、信長ちゃんがまだ役者やってた時、謙信様で決まってた映画の主役を信長ちゃんが取っちゃった事があって、謙信様はそれ以来役者業から退いて今のEtigoを結成したからよ」
「信長が、強引に奪ったの?」
役者業に入れ込んでたわけじゃないから、そんな事しなさそうだけど...
「違うわよ。監督の方が信長ちゃんに一目惚れして、謙信様に断りを入れたのよ」
「なるほど」
それはありそうな話だ。
「おい、いつまで立ち話をしてる。用が済んだのなら帰るぞ」
一仕事終えたのか、信長が部屋の外に出てきた。
「あ、うん。みんなもう帰っちゃったから、改めて連絡する事にする」
既に纏まっている荷物を部屋に取りに行き、私達は三人で楽しく東京へと戻り、私の初のMV撮影は無事に?終了した。