第20章 格差
「ふっ、随分と他人事だな」
信長は笑いながら私の体を抱き起こし、彼の膝の上に乗せた。
「?」
「この目標の中に貴様は既にいる。貴様が側にいるから俺も頑張れる」
「っ................」
「貴様はそのままでいい。勝手に不安になるな。俺の女として堂々としていろ」
「.................うん」
超能力者なの?
どうしていつも、私が喜ぶ嬉しい言葉を言ってくれるの.....?
「うぅ....私も頑張る。信長の彼女じゃなく、信長の彼女は春海セナだとちゃんと言われたい」
「そうだな」
ぎゅっと抱きしめてくれる信長の愛はとても大きくて、幸せが身体中に広がって行く。
信長の目標は世界。
それに比べたら私の目標なんて取るに足らないものだけど、それでもいいと言ってくれる彼を少しでも支えられるように頑張りたい。
「え、英語の勉強も頑張る」
「ふっ、それなら俺が教えてやる」
「ほんと?」
「ああ、英語は発音が重要だ。先ずは舌使いからだな」
「そうなんだ?.......っん!」
妙に納得している私に、悪戯に笑う顔が近づいて唇が重なり、息苦しさを覚えた頃に離れた。
「っ、....これで、発音が上手になるの?」
ただ、キスされただけの気がするけど......
「ふっ、貴様はやはり手放せん。いちいち言う事が可愛い」
「え、何?.............んっ...........」
結局、どこら辺が英語の発音の練習か分からなかったけど、レクチャーは早々と終了して、身体はベッドに沈められた。
「.................セナ、愛してる」
沢山の愛の言葉とキスが降り注ぐと、さっきの映画での嫉妬も、置いてかれる様な不安な気持ちも全てが溶けて行き、今夜もまた彼によって天国へと連れて行かれた。