• テキストサイズ

あなたが教えてくれたこと【イケメン戦国】

第1章 ネットニュースの人



高校三年生の時、私は二度、ネットニュースの人となり、私の長い人生の中で間違いなく忘れられない一年となった。



一度目は夏。
青い空にギラギラと照りつける太陽の下、
私は、中学から約六年間ずっと走り続けてきた自分の集大成を見せる高校総体、インターハイの会場へと向かう途中だった。




「わぁ、見てあの犬」


大会に出る友達と一緒に、駅から会場までの道を歩いていた時、白くてストレートの長い毛の大型犬が目に入った。



「あぁ、アフガンハウンドだよ」

犬好きな友達が犬種を教えてくれる。


「アフガンハウンド?なんか名前までセレブっぽい」

「あぁ、ぽいぽい、お金持ちが飼ってそう」

「でしょ?白い大きな一軒家とかで飼われてそうって.....でもあの犬変じゃない?」

ここ..............街中だよね。


「何が?」

「あの犬......リードしてないよ...ってか、あの犬の飼い主は?」


こんな街中で、放し飼いってことはないよね。
でも、あの子だけで歩いてる様な.....


「捨て犬....な訳ないか」

首元はおしゃれなカラーが巻かれていて、きちんと手入れされたその犬を捨て犬と言うには友達も違うと思ったみたいで、身体中を覆うサラサラストレートの毛を揺らしながら、その犬は優雅に車が行き交う道路の方へと歩いて行った。


飼い主の人、本当にいないのかな?それとも脱走した迷い犬?

道ゆく人も、一瞬犬を見て振り返るけど、すぐ向き直り歩いて行ってしまう。

まだ、歩道を歩いているからいいけど、もし道路に出ちゃったら........ほら、そのまま道路に出ちゃ危ないよ。だめだって、そのままだと.........


「ダメっ、危ない!」

そう言って、その犬の方に走り出したのは覚えてる。

「セナっ!」

友達が叫んだことも。


プァーーーーーーーー
キキキキキキキキキィィーーーーー


大きなクラクションの後に長く響いたブレーキ音に、迫り来る白いワンボックスカー


ドンッ!!!


と言う鈍い音と、一瞬身体中に走った鋭い痛み。


私の記憶は、ここで消えた...................。








/ 440ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp