第18章 ケイティの部屋②
私が小四の頃から育てた信長ちゃん(本人はつゆほども思っていないと思うけど......)は、最近、人を愛する事を知った。
「ちょっと、信長ちゃん。秀吉ちゃんから苦情が来てるわよ」
社長室にドカドカと入り込み、涼しげにコーヒーを飲みながらPCを見つめる信長ちゃんに言い寄った。
「何の話だ?奴に苦情を言われることなどない」
コーヒーを机に置き、私を睨み見る信長ちゃんは、最高のイケメンに育った。
「あるでしょ!社長室をラブホがわりにしないで!本当に、他の女との時にはこんなヘマしなかったのに、セナの事になると我も忘れて鍵もかけ忘れるわけ?」
秀吉ちゃんの苦情の内容はこうだ。
先日、セナが社長室に入って行った後、取り急ぎ社長の耳に入れなければならない重要案件が降りて来たため、とりあえず知らせなければと、社長室の部屋をノックした。
しかし、返答はなく、その後も何度かノック。
試しにドアノブを押すとカチャリと開いた為入った所、セナにキスしながら抱き抱え、応接室へと連れ込もうとする社長の姿があったと言う。
昔から社長室に遊びに来る女達は、信長ちゃんに抱かれに来ていた。
もちろん常に信長ちゃんも彼女達に応えていたわけではなく、自分の気分が乗った時には社長室の鍵をかけて、手短に行為に及んでいた。
そしてそれを、私も秀吉ちゃんも知ってはいたが黙認していた。
「その事か。セナの事は俺にとって特別事項だ。言われた所でやめる気もない。口を挟むな」
いつも冷静だった彼を、唯一感情的にする事のできる女の子がついに現れてしまった。
「お盛んなのは結構だけど、あの子の仕事の事も考えてほどほどにしてあげてよ。あと、痕をつける場所位配慮してあげなさい!この間メイクの子がこっそり痕隠しておきましたよって、私に言いに来たわよ!セナがかわいそうでしょ!」
どの女にも、キスマースなんてつけなかったはずなのに.....