第17章 育まれる関係
〜ある昼下がり〜
「ちょ、ダメ.......」
「聞こえん」
ちゅっ!
社長室の信長の膝の上。
「やっ、ダメだって」
顔中に彼のキスが降り注ぐ。
「煽る貴様が悪い」
ちゅっ、ちゅっ、
「や、んっ、..........ん」
ちゅ、ちゅる、ちゅ、と、ついに唇が塞がれた。
「セナ、隣の部屋(応接室)へ行くぞ」
信長はそう言うと、私の膝裏と背中に手を差し込んで、抱き抱えた。
「えっ?今からするの?や、無理無理」
急なエッチのお誘いに(いや、いつもだけど)驚いていると、
「あーコホンっ!」
割と強めな咳払いが聞こえて来た。
「ひ、秀吉さん!」
慌てて抱き上げられた社長の腕から飛び降りた。
鍵、かけ忘れてた!(いやそこじゃないか)
「......何だ秀吉、部屋に入る時はノック位しろ」
社長は動じる事なくしれっと秀吉さんと話してる。
「何度もしましたが、鍵も空いてましたし、ここは社長室である事、お忘れですか?」
秀吉さん、おっしゃる通りです。
「ふんっ、俺がどこで何をしようと貴様に関係ない」
「風紀は乱さないで下さい。社員も困っております」
ヒィーー、本当にごめんなさい。
「で、要件は何だ?わざわざ嫌味を言いに来たわけじゃあるまい?」
「もちろん仕事の話です」
チラッと秀吉さんがこっちを見るから、重要な仕事の話で聞いてはいけない話なんだと思った。
「あ、私は失礼します」
鞄を手に部屋を出ようとすると、
「セナ、これを持っていけ」
信長は私の手を掴んで一枚のカードを私に渡した。
「........何?」
「俺の家のカードキーだ。それ一枚でエレベーターの操作も、玄関の操作もできる。今夜は遅くなるかもしれんがそこで待ってろ、続きをしてやる」
「っ、..........」
余りにもストレートな彼の言葉に、チラッと横目で秀吉さんを見ると、やはり固まっている。
彼の言葉にただ頷いて、カードキーを受け取り部屋を出た。