第14章 初デート
結局、観覧車が下に来るギリギリまでキスをされ続け、足がふらふらする状態で観覧車を降りた。
「せっかくだ、遊んで行くか?」
私の腰に手を回して足のガクガクする私を支える様に立つ彼は、素敵な提案をしてくれた。
「...え?」
「デートをして、関係を育むんだったな。付き合ってやる」
「ほ、ほんと?」
「行くぞ」
カラッと笑うと、彼は私の手を取り指を絡ませる様に手を繋いだ。
本当の恋人同士みたいでドキドキする。
「こ、恋人同士みたいで、照れますね?」
「ふっ、これ位で照れるな。それに、みたいではなく恋人同士だ」
嬉しい言葉を、彼は簡単に言ってくれる。
「だ、だってこんな風に手を繋ぐの初めてで.....」
本当に、恋人同士になれたのだと少し実感が湧いた。
「俺も初めてだ」
彼はそう言って笑うと、ちゅっ、と私の手の甲にキスをした。
「っ............」
カァーーッと顔は一気に熱くなる。
乗り物に乗る前に、彼の熱にのぼせて倒れてしまいそうだ。
ローラーコースターや、ウォータースライダー、お化け屋敷に、射的と、私達は小さな遊園地での初デートを楽しんだ。
「ふふっ、くまたん可愛い」
射的で社長に取ってもらったクマのぬいぐるみ、くたまんを手に私はもうご機嫌だった。
「何だ、そんなに喜ぶならもっと取ってやったのに...」
社長は挑戦的に私に微笑む。
「ふふっ、社長なら全部取れちゃいそうでしたよね」
射的は初めてだと言っていたけど、社長はたった一回でこのくまたんを取ってくれた。
「一つでいいんです。大切にします」
私の宝物となったくまたんを、ぎゅっと抱きしめた。
「他に行きたい所はないのか?」
「んーー、じゃあ喉が渇いたのでお茶したいです」
私達は、遊園地を出て少し歩いた先のカフェのテラス席に座った。