第2章 あなたと私
力強い三味線の音が、
京極屋に響く。
下の階のお座敷で弾いてるはずなのに、
まるで目の前で聞いているような迫力だ。
「善子の三味線かな」
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善子のおしろいが酷すぎて、
塗り直そうとしたら
慌てて止められてしまった。
どうやら連れてきた男に塗られたらしい。
それを話し出した途端、
善子は再び怒りの感情をあらわにした。
…あの男とは何かあるらしい。
善子を落ち着かせようと、
一曲、三味線を弾いた。
「梅月ちゃん上手だよぉ〜
三味線を弾く姿も可愛いねぇ〜」
にこにこ(デレデレ?)しながら、
手拍子をしている。
弾き終わると、貸してと言って
私の三味線を手に取った。
驚いたことに、
善子は一音も間違えることなく
今私が弾いた曲を奏でて見せたのだ。