第11章 かざぐるまの恋 【完】
最後の手紙には、
『読んだら燃やして』の言葉の変わりに
歌が書かれていた。
『 瀬を早み
岩にせかかる
滝川の
割れても末に
逢はむとぞ思ふ 』
(川の瀬の流れが速く、
岩にせき止められた急流が
二手に分かれても
いずれまた一つになるように、
愛しいあの人と今は分かれていても
いつかきっとお逢いしましょう)
崇徳院の歌だった。
善逸…善逸…
「…好き」
今にも消え入りそうな声で
独り言を呟いた。
誰にも聞こえない
誰にも聞かせない
私だけが分かっていればいい。
ひとりぼっちの部屋で
西日に背を向け、むせび泣いた。