第11章 かざぐるまの恋 【完】
まさか善逸の身に何か…!?
急いで封を開けるが、
そこにはいつもの善逸の字があった。
『 梅月ちゃんへ。
手紙の返事、遅くなってごめんね。
今日は梅月ちゃんに大事な話がある。
手紙を書くのは、
これで最後にしようと思うんだ。
決して君のことが嫌いになったわけじゃない。
そこは誤解しないで欲しい。
君と出会えて本当に良かった。
一緒にいられたのは
たった数日だけだったけど、
俺はこの命に変えてでも
君を守りたいと思った。
君からの手紙は
俺を支えてくれた、勇気づけてくれた、
励ましてくれた。
本当にありがとう。
でも、今の俺にはやらなきゃならないことがある。
自分が守りたいと思った人を
皆守れるような強さが欲しい。
もう、目の前で大切な人を失いたくない。
俺を育ててくれたじいちゃんに孝行したい。
鬼殺隊の剣士として、
誇り高く、もっともっと強い人間になりたいんだ。
梅月ちゃん、
不器用な俺を、わがままな俺を
どうか許して欲しい。
俺は、何があっても君を忘れない。
ずっと、君のことだけを想ってる。 』
善逸の声が聞こえてくるようだった。
あの時の閃光のように、
嘘偽りのない、真っ直ぐな言葉。
手紙の所々は
墨が滲んで読みにくくなっていた。
チュン太郎の涙のせいだけじゃない。
紙はシワシワで、今にも破れてしまいそう。
きっと善逸も今の私と同じ、
泣きながらこの手紙を書いたんだ。