第10章 俺はどうしたい？

「善逸、お前は自分の音を聞いているか？」


「聞いてるよ。聞いてるから苦しいんじゃろがい！！」



ごめん、炭治郎。
これは八つ当たりだ。




「…今度は、自分を信じてみたらどうだ」


「…は？自分の、こと？」


「そう、俺たちが出会ったときのこと

覚えているか？」


「あぁ、炭治郎が俺の結婚を邪魔した時ね！！」



炭治郎が何を言ってるのか分からなくて
ちょっと嫌味を言ってみた。
もちろん、炭治郎には伝わってないと思うけど。




「そこじゃない！

善逸は、鬼の禰豆子を背負った俺を

信じてくれたろう。

俺が命よりも大事なものだと言った言葉を

信じてくれたろう。

俺と禰豆子を、信じてくれて嬉しかった。

あの時のことは一生忘れない。

何があっても、真っ直ぐに人を信じることができるのは

善逸の強さだ。

今度は、自分のことを信じてみても

良いんじゃないか？」




「…炭治郎、お前って本当に良い奴だよ！！

腹立つくらいにな！！」


力いっぱい炭治郎の背中を
バシバシと叩いた。

どこかに力を入れていないと
涙がこぼれそうだったから。