第9章 嵐の後
落ち着くと、炭治郎くんが
鬼のこと、妹の禰豆子ちゃんのことを話してくれた。
そして、これからもっと厳しい戦いの場に
行かなければならないことも。
「…そう、なんだ」
なんて声をかけたら良いのか分からなかった。
自分の命をかけてまで
果たさなければならないことがある彼らに
私が何か言ったところで、
薄っぺらい言葉しか出てこない気がした。
自分が死ぬことよりも、
今は善逸を失ってしまうかもしれない
もう二度と会えなくなるかもしれない
その恐怖の方が何倍も強かった。
嫌だ、ずっとここにいて欲しい
危ない目に遭って欲しくない
血塗れの善逸なんてもう見たくない…!
「善逸…っ」
無意識に、名前を呼んで
ありったけの力で善逸を抱きしめていた。
「梅月ちゃん…」
「…梅月さん、善逸は強い。信じて」
まただ、炭治郎くんには
私の心が読めているみたい。