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【鬼滅の刃】かざぐるまの恋【我妻善逸夢】

第1章 私は、花魁



「起きろ梅月」


顔に冷水をかけられ、
意識を失っていたことに気づく。



「はぁっ…はぁっ…げほ、、」



視界に入った自分の腕や太ももが
まだらに赤黒くなっているのに気付いた。


「今日はここまでにしておいてやる。
相変わらず良い声で鳴いておったぞ」



恍惚の表情で舐め回すように
私を見る。


気持ちが悪い
虫唾が走る



貼り付けたような笑顔で


「ありがとう…ございます」


とだけ言った。


「ハハハ!わしは気分が良いぞ、梅月!
“蕨姫”はこうはいかんからな!」


駄賃だと言って、
男は私に金を握らせた。

口止め料のつもりか。



男が鼻歌を歌いながら部屋を出て行くと
緊張が解けたのか
一気に身体中を痛みが襲う。


「…うっ…うぅ…」



声にならない声を出すのがやっとで、
畳を這うように襖へと近づいた。


襖に手が届きそうになった時、



「梅月花魁…!」



勢いよく戸が開き、
禿(かむろ)の朝露と小春が駆け寄ってきた。


「ひどい…こんな…」

「私、旦那さん呼んでくる!」


すぐにでも飛び出して行きそうな
朝露の腕を掴む。


「朝露…だめよ…」

「でも!」

「良いから!言うことを聞いて頂戴…」



大きな瞳に涙をいっぱい溜めて、
心配、不安、恐怖…いろいろな感情が
入り混じった表情で私を見つめた。


あぁ、私はまたこの子たちに
こんな顔をさせてしまった…


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