第3章 おとぎばなし
ーーガタガタッ
風で格子が揺れた。
その音でハッと我にかえる。
「ななななんてね!?!?
あ…アタイが男だったら、
梅月ちゃんの代わりにそいつを
ぶん殴ってやるのに!!ハハハ!!!」
勢いよく私から離れたかと思えば
顔を真っ赤にして滝のように汗を流す善子が
面白くて、つい笑ってしまった。
「ふふっ…」
「あっ…やっと笑ってくれた!」
「え?」
「やっぱり梅月ちゃんの笑顔は
最高に可愛いよぉ〜」
「ありがとう」
「…じゃ、お風呂行ってこようかな。
梅月ちゃん一人で寂しいよね?!
すぐに戻ってくるからね!!」
そう言うと、急いで善子は部屋を出て行った。
ポツンと一人残されて
善子の言う通り、急に寂しくなった。
つい昨日まで、ここは一人部屋で
寂しいとか、心細いとか、
そんなこと感じたことなんてなかったのに。
善子と出会って、
私どうしちゃったんだろう…
そういえばさっき、
善子自分のことを “俺” って…