第2章 あなたと私
部屋を出ようとした時、
急に腕を掴まれた。
「痛いっ!」
全身に稲妻が走るような痛みが襲う。
姿勢を崩し
その場に倒れ込んだが、
善子が抱きとめてくれた。
「梅月ちゃん!?ごめん!
痛かった!?」
「…っ!」
呼吸が、上手くできない。
あの男の声が、ぶたれたときの音が
耳元でこだまする。
「はぁっ…はあっ…
痛いっ…やめて…っ」
「梅月ちゃん!?どこ!?
どこが痛いの!?」
寒くもないのに、
身体が勝手にガタガタと震える。
視界がぐにゃぐにゃして、
善子の顔が歪んで見えた。
「いやっ…もうやめて…!」
目をつむると、
ポロポロと涙が頬を伝う。
私の名前を呼ぶ善子の声が、
遠く、向こうのほうで聞こえた。