第2章 :思い出を一緒に〜promise〜
『ねぇ…リヴァイが地下街出身って、ホント?』
「あ?そうだが…何だ?」
『そっかぁ。実はね、私探してる人がいて…リヴァイ知らないかなって思って。』
「探してる奴?名前は?」
『ファーランっていうの!』
「ッ?!ファー…ラン…だと?」
リヴァイは驚き、目を見開く。
『知ってる?』
「なぜ…お前が、あいつを知ってる?」
『昔…助けて貰ったの。』
「助けた?ファーランがおまえを…」
『うん。9才の時誘拐されて、地下街に連れて行かれた時に…』
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ハァハァハァハァ
少女はただ、ひたすらに走っていた。
足と手は血が滲み、傷だらけだ。
それでも少女は走り続けた。
追いかけて来る足音が、消え去るまで。
ここが陽の当たらない、地下街だという事は気付いていた。
父:カイの旧知の仲であるイェーガー家に向かってる最中、突如黒づくめの男達に攫われ…気付けばこの地下街にいた。
連れて来られてすぐ、油断していた男達の元から逃げ出し…その際縛られていた手足の縄を、ガラスの欠片で引きちぎって逃げ出した。
(助けて!お父さん…フェイ!)
心の中で呼びかけるが、答えてくれる者はいない。
この身を探し出す為の術となる【証】は、逃げる際何処かに落としたらしい。
それが無ければ、少女を見つける事はとても困難だ。
「見つけたぞ…小娘!随分逃げ回ってくれたな。さぁ、おいで!暴れたり逃げたりしなければ、もう痛くはしない。」
路地まで追い込まれ、男3人がジリジリと少女に近付く。
少女もそれと同時に後退るが、既に壁際に追い詰められていた。
『助けて…誰か、助けて〜!!』
少女はその時出せる、精一杯の声で叫ぶ。
「残念だな。ここの奴らはお前の価値を知っている。だから残念ながら、助ける奴はいない。」
『イヤ…』
ニヤニヤと笑い、近付く顔から目を反らせず…少女は小さく呟いた。
1人の男が手を伸ばし、腕を掴もうとしたその時…
「おいおい!いい年した大人3人が、寄ってたかって小さい女追い回すとか…アンタら恥ずかしくないわけ?」
人影が降り立ち、大きな背中が怯える少女の姿を隠した。
それが…少女:リンと、青年:ファーランとの出会いだった。